地域医療支援病院 東京北医療センター

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公益社団法人 地域医療振興協会

形成外科 ご案内と特徴

形成外科のご案内

形成外科は、主に「体表面の形態」を治療対象とする分野であり、顔からつま先まで全身の「目に見えるおかしなところ」は、形成外科の守備範囲といえます。
例えば、顔の傷跡を綺麗にする、顔のできものやしこりを綺麗に取る、垂れ下がった眼瞼を引き上げる、などの細かな形成手術から、皮膚癌の切除後の皮膚欠損や外傷により失った身体の一部を、皮膚・皮下組織の移植により修復する再建手術などを行っています。
また、食の欧米化や高齢化により増加している糖尿病や動脈硬化が原因で発症する足の治りずらい傷(足壊疽、難治性皮膚潰瘍)、床ずれ(褥瘡)などに対する軟膏加療や手術による修復も行っています。

当科の特長

当院の形成外科が対象としている疾患は、大別すると以下の分野があります。

①新鮮外傷・熱傷
外傷とは、外力により生じた組織・臓器の損傷(けが)をさします。形成外科では顔面、手足などにおいて、皮膚・皮下組織の外傷(切創、擦過傷、咬傷など)を扱います。傷をきれいに治すためには初期治療が重要で、当科では整容面を考慮した創傷処理を行います。
やけど(熱傷)は文字通り皮膚に熱が作用したために起こる外傷で日常生活において最も多い外傷の一つです。基本的に軟膏の塗布がメインの治療になりますが、ある程度広い範囲で深い熱傷は植皮術などを要します。また、治った傷跡がケロイド(傷跡が赤く盛りあがった状態)になったり、拘縮(ひきつれ)したりすることがあるので、治癒したあとの経過観察も重要です。

②顔面骨骨折
顔面骨とは顔面の骨格を形成する骨のことで、非常に複雑な形をしており「顔」の形態と機能に重要な役割を果たしております。治療は、骨折でずれた骨をもとの位置に戻し、チタンプレートや吸収性プレートで固定するために手術が行われますが、骨折した部位によって方針が若干異なります。手術時期が受傷から3週間以内が目安ですが、眼窩底骨折などは緊急を要することもあります。

③手足の先天奇形(多指症・合指症)
多指症とは正常より指数が多い状態をいい、過剰指の形態により様々なタイプがあります。合指症とは隣り合った指の一部または全部が癒合(くっついている)している状態をいい、癒合している組織(皮膚・関節・骨など)の違いにより様々なタイプに分類されます。一般的には1歳前後に手術が行われます。成長に伴って爪の変形や指の曲がりなどを発症することもあり、その場合は修正術を行うこともあります。

④その他の先天奇形
当院では手足の先天奇形以外に、副耳、耳ろう孔、舌小帯短縮症、出べそ(臍突出症、臍ヘルニア)などを治療しております。体の形態に異常を感じたらご相談ください。口蓋裂・口唇裂、耳介変形(折れ耳、埋没耳、小耳症など)、漏斗胸、頭蓋変形などは小児専門病院や大学病院へご紹介します。

⑤良性腫瘍(粉瘤、石灰化上皮腫、脂肪腫、線維腫、血管腫、神経鞘腫、耳下腺腫瘍など)
皮膚、皮下の腫瘍とは、皮膚の表面あるいは皮膚の下に出来たしこりを指します。実は色々な種類があり、皮膚から発生したり脂肪や神経、血管、骨などからも発生します。治療は皮膚を切開し、できものを摘出する手術になりますが、外来通院で出来るものから入院治療を要するものまであります。
一般的に「脂肪のかたまり」とよく言われるものは粉瘤と脂肪腫があり、手術件数が一番多いしこりです。粉瘤は化膿して赤く腫れ、膿がでたり痛みを伴ったりすることがあり、そうなる前に手術で取り除くことが望ましいといえます。脂肪腫は脂肪細胞が大きくなったものですが、基本的にはしこり部分の皮膚が盛り上がる以外に症状はありません。痛みなどもほとんどなく、徐々に増大するため放置されがちですが、まれに癌のこともあるため精査して完全に切除することをおすすめします。

⑥悪性腫瘍(基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫など)
皮膚癌になる最大の原因は日光などの紫外線で、60歳以上の高齢者の顔に出来やすいという特徴があります。皮膚癌は皮膚にできるため、外観からも何かが起こっているということが分かりやすい病気ですが、ただのホクロやいぼ、湿疹などと間違えられやすく、見過ごしてしまいがちです。
急にそれらの大きさや形が変わったり、出血してかさぶたが出来る、傷ができて治らないなどの変化があれば、皮膚癌の可能性があります。日本人で最も多い皮膚癌が基底細胞癌で、有棘細胞癌、悪性黒色腫と続きます。基本的には切除手術のみで治療が完了しますが、まれに化学療法、放射線治療を行うこともあります。皮膚癌は顔に発症することが多いため、切除に際しては見た目を考慮した治療が重要となります。早期発見して切除する範囲を少なくすることが、目立たない手術の傷跡につながりますので、気になるホクロやシミ、いぼ、しこりなどがあれば、早めにご相談ください。

⑦乳房再建
乳房再建とは、乳癌の治療によって失われた乳房の形態をできるだけ元の形に復元・修正する手術をいいます。
乳房再建は大きく分けて、(1)人工乳房 (2)自家組織 による再建があります。

【人工乳房】
シリコン製の風船のようなもの(組織拡張器)を胸の筋肉の下に挿入します。外来で生理食塩水を組織拡張器に入れます。2~3週間に1回程度の通院で生理食塩水を入れて組織拡張器を徐々に膨らまし、皮膚を伸展させてからシリコン製の人工乳房に入れ替えます。組織拡張器を入れてから約6~8か月後に人工乳房の入れ替えを行います。

【自家組織】

自身の皮膚や皮下組織を乳房欠損部へ移植し、乳房を作成する手術です。主に、お腹の皮膚、脂肪、腹直筋などを用いて移植する腹直筋皮弁術と背中の皮膚、脂肪、広背筋を用いて移植する広背筋皮弁術があります。腹直筋皮弁術の方がより大きな乳房を作成できるなどの利点がありますが、妊娠を希望されている方や腹部の手術歴がある方には出来ません。

乳房再建の希望がある方は、乳癌の手術前に乳腺外科医や形成外科医に一度ご相談ください。乳房再建の方法やメリット、デメリット、治療の流れ、乳房再建の時期などを説明し、十分に理解して頂いた上で治療をすすめさせて頂きます。また、乳癌切除後は気にならなかったが時間が経ってから気になり初めた方も保険診療が可能なため、お気軽に形成外科へご相談ください。

⑧肥厚性瘢痕・ケロイド・瘢痕拘縮
瘢痕とは傷あとのことで、肥厚性瘢痕、ケロイドは外傷や手術の傷が赤く、盛りあがり、痛みや痒みなどを伴った状態をいいます。ケロイドは体質も関与していると言われており、傷の範囲をこえた瘢痕の広がりと盛りあがりを認め、特に、帝王切開の傷や肩、胸部、耳垂(ピアス挿入部)の傷によく見られます。手術しない治療方法として、内服、軟膏塗布、テーピング、シリコンジェルシートによる圧迫、ステロイド注射などがあります。それぞれの治療を併用することが多いです。
また、ケロイドは手術で切除することもあります。単純に切除するのみではケロイドは再発するため、傷にかかる緊張が軽減するようにあえてジグザグの傷跡にするZ形成術やW形成術など、手術の手技を駆使して治療にあたります。また、術後に放射線治療を併用することもあります。瘢痕拘縮とは傷のひきつれ(拘縮)により頚、肘、肩、膝、足関節、手指(趾)などの関節運動が制限される状態をいいます。拘縮はステロイド注射を行ったり、手術で拘縮を解除することもあります。

⑨褥瘡、難治性潰瘍
褥瘡(床ずれ)は、骨突出部の皮膚や皮下組織が自分の体重で圧迫されることによって局所の血流が遮断され、その部分の組織が壊死に陥り、皮膚潰瘍を生じたものをいいます。半身麻痺や老衰による寝たきりなどで身体の活動性が低下した患者さんの殿部や足部に発症しやすいです。体位変換せずに寝ていたり、同じ姿勢で長時間座っていたりなど、褥瘡ができる部位により発症原因が異なります。
また、生活環境や介護しているスタッフの知識、栄養状態や基礎疾患の有無により褥瘡の発生率や再発率も変わってきます。基本的には軟膏加療となりますが、ポケットを切開したり壊死・感染組織を切除したりなどの外科的治療も形成外科の治療対象です。また、ある程度大きな皮膚欠損や骨が露出しているような深い潰瘍には、皮膚・皮下組織を移植する全身麻酔の再建術を行うこともあります。褥瘡は再発を予防できなければ治療しても原因の解決にはなりません。傷がなくても褥瘡かなっと思った時点で気軽にご相談ください。本人が来れない場合は写真の持参でも構いません。

難治性潰瘍とは主に血行が悪い膝から足にかけての治りずらい深い傷(潰瘍)のことを言います。血流には動脈と静脈があり、どちらが障害されても難治性潰瘍を起し得ます。特に、糖尿病や透析患者さん、高齢者の方は動脈硬化や静脈うっ滞を起しやすく、脚の血流が滞ることで創傷治癒力と免疫力が低下し、水虫や虫刺され、ひっかき傷などが治らずに徐々に悪化します。
最終的にはや骨に感染がおこり、足指が壊疽したり全身に菌が回って緊急の入院治療を余儀なくされることもあります。治りずらい原因を究明して可能な限りそれらを改善させ、さらに足に傷ができないような予防医学が大切になります。なかなか治りずらい傷がありましたらご相談ください。

⑩その他

下肢静脈瘤

足のむくみ、足が疲れやすい、足の痛み・しびれ・瘤、こむら返り、足の黒ずみなどは静脈瘤が原因の可能性があります。静脈瘤とは、足から心臓に戻っていく血が逆流しないように機能している静脈の弁が壊れて起こる病気です。出産後の方や立ち仕事の方に起こりやすく、多くの方が静脈瘤に悩まれています。静脈瘤に対して、当院では日帰り手術も可能な血管内焼灼術と血管内塞栓術という治療を行っています。入院の場合は手術翌日に退院ですが、通院の場合でも手術翌日は外来を受診して頂きます。

眼瞼下垂症

まぶたが重くなって視野が狭くなる、肩がこるなどの症状がでます。コンタクトの長期使用者や高齢者はまぶたを動かす筋肉が弛緩し、まぶたが徐々に下垂しやすい状態にあります。手術で改善しやすい疾患で局所麻酔の手術が可能ですが、はぶたは腫れやすく出血しやすいため数日間入院してもらうこともあります。

わきが(腋臭症)

皮弁法という皮膚を切開してにおいの元となっているアポクリン腺を切除する治療がメインです。手術は、脇の皮膚を4,5cm程度切開し、皮膚の裏側のアポクリン腺を切除して糸で皮膚を縫合閉鎖します。創部を綿とガーゼで圧迫し、包帯で固定するため術後1週間程度は腕や肩の可動が少し制限されます。日帰り手術でも入院の全身麻酔手術でも対応が可能で、保険診療となります。麻酔方法や入院の有無は患者様の希望に沿って対応致します。通院の場合でも術後1~2週間は週3回程度は外来を受診し、創部の処置が必要になります。

陥入爪・巻き爪

爪が巻いてきて爪横の皮膚にあたり、痛みや感染を引き起こします。放置すると不良肉芽という感染組織ができ、痛みで歩行が困難となります。緊急処置としては、局所麻酔で皮膚に当たっている爪を一部除去します。根治的な治療としては、ワイヤーを爪に挿入して曲がっている爪を矯正する自由診療の治療と、曲がっている爪を半永久的に生やさなくする保険診療の日帰り手術があります。

他にも

女性化乳房・副乳の手術陥没乳頭の修正術、臍の陥没や突出の臍形成術、ホクロ(母斑)やイボ(尋常性疣贅)の切除術、たこ(胼胝)や魚の目(鶏眼)の切除術、ピアスによる耳垂裂の修正術、腋窩や殿部膿皮症・毛巣洞の切除術、腋窩多汗症のボトックス注射、顔面神経麻痺による眉毛下垂の眉毛挙上術 など

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