耳鼻咽喉科について

耳鼻咽喉科の概要

耳鼻咽喉科が担当するのは、頭頸部に存在する耳、鼻、口腔、咽頭、喉頭、食道、頸部といった器官です。
これらに異常が生じて聴覚、嗅覚、味覚、構音(正確な発音)、音声、嚥下(呑み下し)、さらに平衡覚(体のバランス感覚)などの機能が損なわれた、
あるいは損なわれる可能性が高いと判断されたとき、治療により改善に導きます。
逆にいえば、眼科が担当する眼、脳神経科が担当する脳と脊髄を除く、頭頸部の疾患を扱う科ともいえます。

認定施設

難聴の治療は積極的に手術を

耳鼻咽喉科の病気の中で、社会生活をしていくのに最も支障が出るのは、耳の病気です。耳が聞こえにくいと、他の人との意思疎通やお付き合いに支障が出てきます。
当病院の耳鼻咽喉科は、中耳が原因の難聴の場合、保存治療よりも積極的に手術治療をお勧めし、快適な生活を早期に取り戻していただくことを目標としております。それは聴覚機能が不自由になり、コミュニケーションが満足にできなくなると、人生の中で大きな損失をきたすことにもなるため、早期の完治が必要だと考えるからです。

小児期の難聴は、学習に遅れが生じたり、お友達との関係づくりがうまくいかなかったり、発達に問題が生じるといったことが起こりやすく、その後の長い人生にも大きく影響します。
また中高年を含めた成人では、相手の言葉がはっきり聞き取れないと、適当に返事をしてしまうことがあります。それでは会話が成立しませんから、誰とも話しをしない人と同様、認知機能の低下を生じる可能性が高まります。

英国の医学専門誌「ランセット」国際委員会は、中年期(45~65歳)で聴力が低下している人は、そうでない人に比べて1.9倍も認知症になる可能性が高いと報告しました。これは高血圧や肥満の1.6倍と比べても高い確率です。さらに65歳以上になっても、聴力の低下は認知症リスクであり続けるとも指摘しています*。このような研究の結果を踏まえ、「難聴は認知症の最大リスク」とも言われるようになっています。
聴覚は、人が充実した社会生活を営む上で、とても大切な役割を担っているのです。それが、手術をしてでも難聴を早く治していただきたい大きな理由です

当センターは主に急性期医療を中心に行っておりますので、保存治療をご希望の方には、ご要望に応じて耳鼻咽喉科を持つ地域の医療機関をご紹介することも可能です。

* Livingston G, et al.: Dementia prevention, intervention, and care, Lancet. 2017 Jul 19