専門外来について

小児耳鼻咽喉科外来(毎土曜日)

耳の疾患では、反復性中耳炎などが小児に起こった場合、長引くことが多く、ときには難聴や、構音障害(はきはきと発音できない)などの後遺症が出て、言語発達にも悪影響を及ぼすことがあります。このような疾患をはじめ、手術が必要な慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの治療にあたります。 また完全な「ろう」の場合、人工内耳の手術が必要になります。

小児のころの中耳炎を完治させないでいると、成人になってから真珠腫性中耳炎として再発することが多いので、必ず完治が確認されるまで、しっかりと治療します。また小児は12~15歳前後までは耳の発育が続き、内部の構造も変化しますので、疾患によっては手術のタイミングを遅らせる必要があります。そのような場合、補聴器の使用も検討されます。また手術で充分な聴力を獲得できない場合も、補聴器を検討します。

小児は、検査も診療も困難なことが多いのですが、医師のみならず言語聴覚士、看護師など小児診療に熟練したスタッフが診療にあたっております。手術を必要とする疾患では、患部の状態、病気の具合をよく確認し、年齢や成長を考慮しながら、合併症を最小限に抑え、かつ病気を根治することが必要です。またそのことを患者様や保護者の皆様とも共有するため、できるだけ分かりやすい説明を心がけております。

鼻の疾患では、慢性副鼻腔炎などの鼻副鼻腔疾患に対する内視鏡下の手術、また睡眠時無呼吸症候群(アデノイド増殖、口蓋扁桃肥大)、習慣性扁桃炎などに対する手術も多数行なっています。

その他、新生児聴覚スクリーニングで「異常」が出たお子さんの診療も行っています。またダウン症をはじめ障害を持つお子さんの耳鼻咽喉科疾患にも積極的に取り組んでいます(紹介状が必要となります)。

補聴器外来(毎火曜日午後)

難聴をきたす耳の疾患は非常に多く、その多様な原因に応じて手術などの外科治療、薬による内科治療が検討されます。しかし、それらの治療法によっても充分な聴力の改善が得られなかった、または期待できない場合は、補聴器によって日常生活上の障害を改善できる場合があります。

通常、聞こえるほうの耳の聴力が40dB以上の中等度難聴の方は、補聴器を装用しないと、日常生活に不自由を感じます。補聴器を充分に使いこなしていただくため、患者様一人ひとりの難聴の程度、その人を取り巻く環境、そして患者様の希望などを医師が充分に把握し、それぞれの患者様に合った調整をします。
補聴器外来では、日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医が、認定補聴器技能者、言語聴覚士とともに難聴の状況、患者様の環境を考慮し、補聴器の機種選定のご提案と調整を行います。
重度の難聴では身体障害者の申請も可能であり、補聴器を買うときに公的な補助を受けることもできます。
また、難聴の程度によっては人工内耳等の治療をご提案させていただきます。

小児難聴外来(第2、第4週金曜日午後 予約制)

小児難聴外来では、小児難聴専門の医師が言語聴覚士、看護師など小児診療に熟練したスタッフとともに各種の乳幼児聴力検査や診療にあたり、難聴の診断を行っております。
新生児聴覚スクリーニング(出産された産科や新生児科で行われるきこえのスクリーニング検査)が全国的に普及し、現在約8割~9割のお子様がこの検査を受けられています。検査の結果が要再検(リファー)となった場合には、乳児の年齢に適した各種聴力検査が必要となります。
またお子様が成長するなかで、きこえやことばの発達が心配になって耳鼻咽喉科を受診される場合もありますが、就学前のお子様は年齢や発達段階に応じた乳幼児聴力検査が必要です。

両側難聴(両耳難聴)の場合には、聴力の程度や年齢にもよりますが、主に中等度以上の難聴の場合には、一見聞こえているように見えてもコミュニケーション力や言語発達を促すために補聴器の装用や療育が必要になります。
特に先天性で重度難聴のお子様の場合には、乳児期からの補聴器装用と療育の開始が良好な母子関係の成立や言語発達の観点から重要です。
人工内耳埋め込み術が検討される場合もあります。

両側難聴の場合には、聴力に合わせた補聴器の検討や各種福祉制度の手続き、場合によっては人工内耳手術の検討などを行います。同時に保護者の皆様のご希望にあわせて療育機関をご紹介し、その後の連携を行っていきます。
一側難聴(片耳難聴)の場合には、集団生活における聴覚情報補償などの支援を行います。
また、お子様の成長に伴う就学、進学、受験など保護者の皆様の心配や相談への対応など、長期にわたるフォローも行います。(初診時には母子健康手帳をお持ちください)。