国際骨髄腫先端治療
研究センター紹介

国際骨髄腫先端治療研究センター

科学は困難を克服するために存在する

血液内科・科長
国際骨髄腫先端治療研究センター・
センター長

三輪 哲義

国際骨髄腫先端治療研究センター(IMC-ART)は、東京北医療センターに併設された研究部門で、「多発性骨髄腫(MM)に対する新世代の樹状細胞療法」など最先端の治療法を研究目標としています。
さらに最先端の核医学検査を行うPET/CTに関しては、国立国際医療研究センター核医学部門のご協力をいただき、標準PET/CT に加え、より高感度にMM関連病巣を描出できるアミノ酸PET、腫瘍細胞の増殖性が評価できるチオチミジンPET(世界初)等の有用 性の解析も行う予定です。また遺伝子・染色体については、他施設との共同研究で、腫瘍細胞の全ゲノム解析(WGS:Whole Genome Sequencing)を推進いたします。腫瘍動態を的確に把握し、それぞれの患者さんに最も適した治療を可能にしたいと考えています。
血液疾患、とくにMMの治療の進歩は、目を見張る現況ですが、パイオニアの一員として、さらに「科学は困難を克服するために 存在する」を具現化できればと考えています。

地域の先生方と連携し、真の地域医療の実現を目指します

国際骨髄腫先端治療研究センター(IMC-ART)のテーマは、最先端の多発性骨髄腫(MM)診療と研究です。MMは、腎障害、骨障害造血障害の主症状以外にも、神経障害、内分泌障害、アミロイドーシス*など、多彩な全身性合併症が時に観察されます。関連す症候群も多数あり、総合診療的な視点が必須です。
地域医療を支える総合医としてご活躍中の先生方との緊密な協力のもと、よりよい医療を地域に提供したいと考えています。頻度高く補充療法の奏効率が高い鉄欠乏性貧血も、高齢者では悪性腫瘍が原因となることがあり、鉄補充で腫瘍増悪に至る可能性等にしても、意見交換させていただければ幸いです。
地域医療という言葉には、一部に地方やへき地での医療というイメージがありますが、地域医療の理想は、高度先端医療をそれぞの地域の隅ずみにまで展開していくことだと考えています。患者さんの命を預かる以上、限界を突破する気概が不可欠であり、地医療にこそ高度医療が必要なのではないでしょうか。「高度先端医療が広く実践できて初めて、真の地域医療の実現に至る」とい理念のもと、その実現に力を尽くしたいと考えています。

*アミロイドーシス:ナイロンに似た線維状の異常たんぱくが全身の臓器に沈着し、機能障害をおこす病気。

国際骨髄腫先端治療研究センターは、当血液内科の最大の特徴である
併設研究機関です。

血液内科外来の隣にありますが、運営上は病院経営から独立しており、公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所(AMED登録研究機関)のブランチ研究室になります。
血液内科医師竹下が主任研究員を兼任し、専門職員と共に血液疾患の病態解明のために検体保存事業および解析作業を行っています。

研究設備について

リアルタイムPCR

がんの状態を簡単に調べられる測定機器です。細胞のDNAを構成している鎖の異常を測定し、がんの状態の診断に役立てます。

次世代シークエンサー

細胞の遺伝子や、遺伝子が変異してがんに変わりやすくなる場所を特定し、腫瘍が形成されているか、これから形成される可能が高いかどうかを診断します。

8カラー フローサイトメーター

レーザービームの応用により、個別の細胞の特徴を高速で同時に計測する装置。細胞の大きさや内部構造、腫瘍マーカーなどの報を識別しやすいカラー画像で得ることで、より正確な診断が可能になります。

その他研究設備

クリーンベンチ

培養器

検体保存用冷凍庫