地域医療支援病院 東京北医療センター

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公益社団法人 地域医療振興協会

ドクターインタビュー 形成外科

山田 哲郎

形成外科

形成外科・科長

山田 哲郎

“皮膚外科・再建外科”として
全身の皮膚と皮下の手術に対応します

傷が目立たない治療に力を尽くす

平成29年度より、当院に形成外科が新たに誕生しました。形成外科は歴史が浅いこともあり、どのような治療を行っているのか想像しにくい診療科かもしれませんが、頭の先からつま先まで全身の皮膚と皮下のトラブルに対応します。形成外科は擦過傷や挫創、熱傷などの外傷、皮膚・皮下腫瘍、癌切除後の修復・再建、顔面骨骨折、先天奇形、肥厚性瘢痕・ケロイド、褥瘡や足壊疽などの難治性潰瘍、眼瞼下垂症、巻き爪、腋臭症などに対して手術を行う外科系の診療科です。形成外科は疾患に対する標準的な診療指針が少なく、医師の技術次第で治療結果が大きく左右されます。見た目や機能に影響する手術が多いため、日常の診療では患者さんのご希望を丁寧にお伺いし、できる限り傷が目立たないように治療することを心がけています。また、外傷への対応から専門的な治療まで幅広く対応するとともに、将来的には美容皮膚科の治療も拡充していきたいと考えています。

他科との連携を中心とした診療

形成外科は患者さんが直接受診されるケースは少なく、外傷以外は他の診療科からの紹介が中心となります。当院にはさまざまな診療科が設置されていますが、形成外科が診療科間の連携に加わることで、より多くの疾患や併存症、合併症への対応が可能となり、患者さんのQOLを向上させる治療に貢献できると考えています。従来は合指症や多指症、耳介変形など先天奇形や小児の母斑や皮膚・皮下腫瘍などの患者さんは小児科から他院へ紹介しておりましたが、今後は院内で手術が可能になります。また、産婦人科での帝王切開後の傷跡の相談や、外科での乳癌に対する乳房切除後の乳房再建といったご希望にも対応できるようになります。超高齢社会をむかえ、食生活の欧米化なども相まって褥瘡や足壊疽といった難治性潰瘍が増加してきました。特に糖尿病患者さんや透析患者さんにおける難治性潰瘍への対応は現在の医療の課題となっており、治療に苦慮する診療所の先生方も多いことと思います。当院には糖尿病患者さんに対応する総合診療科や透析患者さんに対応する腎センターだけでなく、足の血管の治療も行う循環器内科があります。さらに形成外科が加わり、総合的にフットケアを行う体制が整いました。地域の高齢者医療の分野でも積極的にお役に立ちたいと思います。

新鮮外傷や難治性潰瘍の感染はすぐにご紹介を

外傷は早期に適切な処置をすることで傷跡が目立たないようになります。また、傷跡が目立ってしまった場合でも、内服や軟膏塗布、瘢痕修正術など複合的な治療を行うことで目立つ傷跡を修復することも可能です。新鮮外傷でも時間が経過してしまった傷跡でも、気になったらすぐにご紹介いただければと思います。難治性潰瘍では感染が悪化の大きな要因になります。特に糖尿病や閉塞性動脈硬化症、膠原病などに罹患している患者さんは免疫機能が低下しているため、爪白癬や胼胝・鶏眼、巻き爪、陥入爪など爪のトラブルがきっかけとなって傷ができ、感染するケースが多く見られます。糖尿病患者さんや透析患者さんでは、知覚鈍麻や視力の低下により足のトラブルに気付きにくい状態です。診療所の先生方には爪周辺を中心に注意深く観察していただき、感染に気付いたらすぐにご紹介いただきたいと思います。難治性潰瘍は治癒に時間がかかりますし、再発率が高い疾患です。ポケット切開、デブリードマン、植皮術などの急性期の治療を当院で行ったあとは、ご紹介していただいた先生にお戻しし、再発の可能性が見られた場合は、再びご紹介いただくというネットワークを構築したいと考えています。

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